ファイナルファンタジーを生み出したスクウェア・エニックスの転換期といえる事件といえば、2001年に公開された映画「FINAL FANTASY -THE SPIRITS WITHIN-」をあげる方が多いのではないでしょうか?
製作費1億3700万ドル、当時最新のCG技術をこの映画は興行収入8513万ドルと大失敗に終わりました。
映画の内容自体は多くのレビュアーなどで記載されておりますので、このサイトでは音楽の面からこの映画を見ていこうかと思います。
映画の内容と公開後の影響
2001年当時は全部CGで描かれた映画は珍しい時代となっておりました。CGアニメーションで有名なピクサーがその年「モンスターズ・インク」を公開しております。当時のCG映画は全米では、アニメ映画としてとらわれていた時代でもありました。ファイナルファンタジーの映画自体が大人向けだったという点もあり、少し苦戦したのではないかと思います。
ただ根本の原因は映画の内容自体がいまいちだったと判断できます。よくファイナルファンタジー13のストーリー揶揄として「パルスのファルシのルシがパージでコクーン」といわれることがあります。ゲームをプレイしていけば、その意味自体は理解できるかと思います。
しかしファイナルファンタジーの映画「FINAL FANTASY -THE SPIRITS WITHIN-」はその内容をほぼ説明しないままストーリーが進んでいってしまいます。しかも映画という時間が決まっている中ですので、観客をおいていきぼりにしていったままストーリーが進んでしまいます。
実際、私も映画館に「FINAL FANTASY -THE SPIRITS WITHIN-」を観に行きましたが、内容はほとんど理解できないまま話が進んでいき、いつの間にか終わったという印象があります。今振り返っても中身をまったくと良いほど覚えておりません。
当時のTV番組で試写会があった際、一番盛り上がったのは主題歌「Spirit Dreams Inside」を歌っている「L’Arc~en~Ciel」が生で登場したところだと言っていた記憶があります。
映画公開後のスクウェア(当時)への影響はすさまじく、経営危機に陥り、当時の会長とFF生みの親「坂口 博信」氏が引責辞任してしまいます。また2000年に公開された「スクウェアミレニアム」構想は大幅に縮小されたり、当時放送されていたアニメ「FF:U ~ファイナルファンタジー:アンリミテッド~」が打ち切りなるなどの影響が出ております。
サントラの作曲者は「エリオット・ゴールデンサール」氏
ファイナルファンタジーの映画だから映画音楽作曲者は「植松伸夫」氏だと思われる方もおられるかもしれませんが、植松氏は映画のスタッフとしてはかかわっておらず、エンドクレジットに表示されるのみになっております。ちなみに当初テーマソングの作曲をされていたそうですが、諸事情によりお蔵入り、のちにファイナルファンタジー12のテーマソングとして使用されたそうです。
映画「FINAL FANTASY -THE SPIRITS WITHIN-」の作曲を担当されたのは「エリオット・ゴールデンサール」氏となります。エリオット氏は映画音楽を多く担当されていた方でもあり、2002年に公開された映画「フリーダ」でアカデミー作曲賞を受賞されております。ちなみに「フリーダ」の監督は配偶者でもある「ジュリー・テイモア」氏です。演奏を担当しているのは「ロンドン交響楽団」、指揮は「ダーク・ブロッセ」氏となります。
映画の内容を抜きにして、彼らが作曲・演奏した曲の数々は素晴らしいです。一番残念なところが、収録されている曲がどのようなシーンで流れたのかがまったく記憶がないということです。ゲームのサントラもそうですが、好きになる曲は曲が使用されていたシーンが思い浮かぶものです。そのため、この素晴らしい曲の印象が薄くなってしまうのは残念です。
主題歌・挿入歌を2曲収録
映画「FINAL FANTASY -THE SPIRITS WITHIN-」の主題歌と挿入歌が計2曲収録されており、主題歌は先に出た「L’Arc~en~Ciel」が歌う「Spirit Dreams Inside」、挿入曲はララ・ファビアン氏が歌う「The Dream Within」となります。
挿入歌「「The Dream Within」は主役のアキとグレイをモチーフにした曲であり、映画のテーマをあらわした曲ともなっております。
ララ・ファビアン氏は2001年同年に公開された映画「A.I.」のサウンドトラックにおいても「For Always」という楽曲を提供しております。
主題歌でもある「Spirit Dreams Inside」は「L’Arc~en~Ciel」のシングル21枚目の曲となります。サントラに収録されている「Spirit Dreams Inside」とは別に「Spirit dreams inside -another dream-」という曲がシングルで発売されたときに収録されております。
こちらの曲のミュージックビデオは「FINAL FANTASY -THE SPIRITS WITHIN-」のスタッフが手がけており、全編3DCGで作成されており、製作費は3億円ほどと言われており、ミュージックビデオとしては破格の金額でつくられております。
こちらのミュージックビデオは現在YouTubeで公開されておりますので是非ご覧ください。
この「Spirit Dreams Inside」、「Spirit dreams inside -another dream-」はどちらもライブで演奏される機会はほぼないことで有名な曲です。しかもどちらもベストアルバムのこの曲が収録されることなく「Spirit dreams inside -another dream-」にいたっては、現在まで発売されているアルバムに収録されたことがない曲となっております。なぜライブで演奏されたりアルバムに収録されることは不明ですが、曲自体はとてもよい曲なのでいつか実現してほしいものです。
収録曲一覧
- スピリット・ウィズイン
- レース・トゥ・オールド・ニューヨーク
- ファントム・プレーンズ
- コード・レッド
- ザ・キス
- エントラーダ
- トッカータ・アンド・ドリームスケープス
- ミュージック・フォー・ダイアログ
- ウィングド・サーペント
- ゼウス・キャノン
- フライト・トゥ・ザ・ウェイストランド
- ア・チャイルド・リコールド
- ジ・エイス・スピリット
- デッド・レイン
- ブルー・ライト
- アダージョ・アンド・トランスフィギュレーション
- ドリーム・ウィズイン – ララ・ファビアン
- Spirit dreams inside – L’Arc〜en〜Ciel
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